「現場感をわかっていない」という反発への最も有効な対策は、伝え方の工夫よりも、意思決定プロセスの透明化です。本記事では、EVeMの「マネジメント100の型」から、経営判断や決定事項に現場から反発されないための方法を3つの観点で解説します。
この記事でわかること
現場からの反発とは、多くの場合「その判断がどう導き出されたのかが見えない」ことから生じるものです。「やらされ感」や「現場が分かっていない」という不満は、決定事項そのものへの不満よりも、プロセスの不透明さに起因することが少なくありません。
意思決定者が「上層部」という抽象的な存在として捉えられてしまうと、「現場を無視して勝手に決めているのでは?」という思い込みが生まれます。その結果、心理的な対立構造が形成され、決定の内容そのものも受け入れづらくなってしまうのです。
こうした反発を減らすには、最終的な決定の"伝え方"を工夫するだけでは不十分です。決定に至るまでのプロセスを透明化する仕組みを持つことが重要です。本記事では、次の3つの観点から具体的な方法を解説します。
メンバーが反発を示す背景には、「意見を聞いてもらえなかった」と感じた過去の経験や、「どうせ上層部は現場を分かっていない」という思い込みがあることが多くあります。
だからこそ、マネージャーが日常の1on1などで**"信頼関係3点セット"**を丁寧に実践し、信頼を積み重ねていくことが大切です。
特に重要なのが3つ目の「教えてもらう」姿勢です。マネージャーが現場のことをメンバーから教えてもらう関係性が育まれることで、メンバーは「○○さんを含めて決めたことなら」と感じやすくなります。結果として、「現場感がない」「現場の意見を無視している」といった不満も生じにくくなります。
意思決定のプロセスの中に、メンバーが関わる機会がない場合は、まずメンバーの意見を聞く場を設けることをおすすめします。
このとき、現場の意見を必ず反映するわけではありません。現場の意見は良い意思決定のための"養分"であり、最終的に決めるのはマネージャーです。ポイントは、「最終的な判断は私が行いますが、現場の状況を理解するために皆さんの意見を聞かせてください」と最初に伝えたうえで意見を収集することです。
マネージャーはメンバーの意見を参考にしつつ、最終的には自身で考えて決断します。メンバーの意見をただ取りまとめて抽象化するだけでは、単なる整理に留まり、質の高い意思決定にはつながりません。
また、メンバー側にも、自分の意見が採用されなかった場合であっても、決定された方針に建設的に向き合う姿勢が求められます。こうした前提となるスタンスは、マネージャー自身からは伝えづらい場面もあるため、必要に応じてHRや経営陣から補足して伝えてもらうとよいでしょう。
決定について説明する際は、単に「決まった結果」だけを伝えるのではなく、「これを行うことで、自分たちにどんないいことがあるのか」という意義まで示せると、メンバーの受け止め方は変わりやすくなります。
意義は、次の3つの軸で整理・言語化しておくのがおすすめです。
複数の視点から意義を言語化できるようにしておくことで、メンバーの心に届きやすい説明がしやすくなります。たとえばセールス部門なら、市場軸で「中小企業向けSFAで圧倒的No.1のポジションを確立する」、自者軸で「何人増えても質が高いセールスができる日本一のイネーブルメント実行チーム」といった形です。
Q1. 決定を伝えた後に反発が起きた場合、どうすればよいですか?
A. 伝え方だけを修正するのではなく、次の意思決定からプロセスを透明化することが根本対策になります。まずは日常の1on1で意見を聞く機会を増やし、信頼関係の再構築から始めることをおすすめします。
Q2. メンバーの意見はすべて決定に反映すべきですか?
A. 反映する必要はありません。現場の意見は良い意思決定のための"養分"であり、最終的に決めるのはマネージャーです。その前提を最初に伝えたうえで意見を集めることがポイントです。
Q3. 意見を聞く場を設けると、決定が遅くなりませんか?
A. 意見収集は判断材料を増やすためのもので、多数決ではありません。最終判断の権限と期限をマネージャーが握ったまま運用すれば、決定の質を上げながらスピードを保てます。
Q4. 「上層部が勝手に決めている」という不満が既に根強い場合は?
A. 決定の場だけで解消するのは困難です。日常の「自己開示する・全身全霊で聞く・教えてもらう」の信頼関係3点セットを地道に実践し、感情でつながる関係を再構築することが出発点になります。
「現場感をわかっていない」という反発を防ぐための要点は、次の3つです。
次のアクションとして、直近の意思決定を1つ選び、「プロセスのどこでメンバーの意見を聞けるか」を検討してみてください。