日本の未来を担う若手・中堅の官僚有志の方々を対象に、EVeM代表の長村禎庸は2026年1月、「マネジメントの技術と心得」をテーマとしたワークショップを東京・霞が関の内閣府8号館の講堂で行いました。
霞が関の各省庁は慢性的な人手不足という課題を抱えるとともに、働き方や価値観の多様化も起きています。こうした課題や変化の時期を乗り越えるために、霞が関では、若手・中堅官僚はじめ有志による勉強会が数多く開かれています。
今回のワークショップは、こうした有志の活動の場で、元官僚の栫井誠一郎氏(Publink代表)が立ち上げた、官僚1000名以上(アルムナイ含む)とのネットワークや官民の翻訳力を強みとする、官民共創ベンチャー、株式会社PublinkとEVeMが共催しました。
当日は、各省庁の第一線で活躍する若手から中堅を中心とした官僚の皆さんが、霞が関におけるマネジメントのあり方を問い直す、熱気あふれる時間となりました。本レポートでは、その様子をお伝えします。
「私たちの責務は、公共サービスをサステナブルに提供すること。そのためには、メンバーの業務だけでなく成長も支援するマネジメント、そしてチーム間の連携を密にする必要があります。1+1が2になるのではなく、4にも5にもなるようなチームづくりが大切です」
はじめに、今回の企画の支援者でもある、内閣官房内閣人事局の総括参事官の辻恭介氏から、行政が直面する課題と目指したい姿が語られました。

※内閣官房内閣人事局の総括参事官の辻恭介氏。今回のワークショップの実現の霞が関サイドの支援者です。
官民連携を推進するPublink代表の栫井氏も、自身の官僚時代を振り返りながら、「政治家や幹部から降ってくる仕事の対応に追われ、主体的に理想に向き合う時間が少ない。そんな閉塞感の中にいるリーダーたちに、明日から使える技術を届けたい」と、ワークショップに込めた意義を話しました。
そのバトンを受け取った長村は「マネージャーとして組織をよくするための技術とモチベーションを得てほしい」と、この場のゴールを掲げます。
不確実な状況でチャレンジングな目標を立て、自らが変革の当事者となるためのマネジメント技術と心得を学ぶセッションがスタートしました。
マネジメントはセンスではなく「再現性のある技術」
多くの組織において、マネジメントは個人の人間力や経験則といった、あいまいなものとして片付けられがちです。しかしEVeMは、「マネジメントは教養や所作ではなく、明確な技術(スキル)である」と提唱しています。
長村は次のように語り、マネジメントの状態を客観的に測るための「4つの基準」を示しました。

「目標設定や面談のやり方といった“How”だけ学んでも意味がありません。まずはマネジメントができている状態とは何かを明らかにして、チーム内で認識を合わせることが重要」
マネージャーは、この4つを併せ持つ必要があります。ここで長村は、かつての苦い失敗談を披露しました。
「ディー・エヌ・エー(DeNA)勤務時代の私は、執行にのみフルコミットし、目標達成さえすればいいと考えていました。メンバーを道具のように扱い、人事や他部署との連携も無意味だと切り捨てていたんですね。結果、目標は達成しましたが、私は事業部長を解任されたのです」
短期的な成果だけを追えば、組織の成長は止まります。自らの過去も踏まえて「中長期的な成長に寄与できないマネージャーは、真のマネージャーではない」と強調する長村。巨大な官僚組織において、日々忙しく業務に向き合う参加者からもうなずく様子がみられました。
マネジメント行動は、状況によって変わる

ワークショップでは、参加者が「4つの基準」をもとに自身のマネジメントを振り返りました。長村から「執行・活用・伸長・連携のそれぞれに、どのくらいの比重を置いているのか。この比重が、皆さんのマネジメント業務の優先順位そのものです」とガイドしたうえで、現状をチェックする時間を取りました。
この比重の置き方には、唯一の答えはありません。状況が変われば、注力すべきポイントも変わります。自分の得意なマネジメントスタイルに注力するのではなく、「事業立ち上げ」「急拡大」「立て直し」といった状況を見極めて、自分をフィットさせることが重要だとEVeMは考えます。

このワークで見えてきた、あるべきマネジメント行動を取るにあたり、長村は「まずは、自分が変えられることを考えてほしい」といいます。
「物事がうまくいかないとき、上司や組織を原因にしたくなることはあると思います。でも、自分以外のことを変えようとするのは、パワーも時間もかかるもの。短期的には、自分が能動的に働きかけられる要因に集中する。それが『自責で考える』ということです」
自分で変えられる行動を積み重ねたうえで、中長期的な視点として「チームはマネージャーだけでなく、関わるメンバー全員でつくるもの」と長村は語ります。
論理を超えて心を動かす「マネージャーの心得」

ワークショップ後半、テーマはマネジメントの技術から「心得」へと移りました。技術さえ身に付ければいいわけではないのが、マネジメントの難しさです。長村は「上位者であればあるほど、その人の心得の不備が組織全体に波及します」と、論理ではなく心も動かすマネジメントの大切さを強調しましたす。
そこで “ヒト”を扱う者として必要な心得を考える40個の「問い」を、今後のチェックリストとして活用いただけるように配布しました。
さらに、この中から「自分についてのwhyを理解すべきということを心得ているか」という問いをピックアップし、「自分はなぜこの組織にいるのか」「なぜこの仕事をしているのか」を考える時間を取りました。
長村は、自分のwhyを言語化できるマネージャーの重要性をこう語ります。「whyを熱く語れるリーダーには、人がついてくる。その言葉にメンバーが触発され、自分の意思を示してくれるようになります。メンバーのやる気を引き出すには、マネジメントの技術を使う前に、皆さん自身のwhyを伝えることが必要です」
whyを語るために取り組んだのが、2人1組でお互いの価値観を深掘りするピアコーチングです。「あなたの人生において、仕事とはどのような意味合いを持ちますか?」「なぜ今日も、現在の職場に出勤し、活動しているのでしょうか?」といった問いに対し、じっくり話を聞き合います。

自分はなぜ、この国のために仕事をしているのか。自分の心に向き合い、言葉にする時間を取りました。
マネジメントは、日々の心得と技術の習得によって必ず向上します。EVeMが提供するのは、スタートアップで培われた再現性のある技術です。
それは霞が関という歴史ある組織においても活用でき、変革の種をまくことができると実感いただけたのではないでしょうか。
今後もEVeMは、官民および官民共創に向けたマネジメント支援に取り組んで参ります。
5/16(土)に開催される日本初、1000人のキーパーソンが集結する官民共創カンファレンス「Publink Summit for JAPAN 2026」に、EVeMも登場いたします。日本の未来を共創する場へ、ぜひお越しください。
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■満足度
大変満足 : 約78%
満足:約17%
以下:5%
■参加者の声(抜粋)
「他省庁の方との意見交換を通じて、同じような悩みを抱えている方と交流できた」
「自身の振り返りに加え、最後のピアコーチングの題材も公務組織ではあまり言語化することのない非常に有意義なテーマで、高い満足感を得ました」
「マネジメントの科学化の入口、経験学習サイクルの視点を解説いただいた。どうしてもマネジメント領域は精神論・先天才能論に陥りがちなので、そうではない道筋を示してもらえたのが良い」

