はじめに
AIの革新は目まぐるしく、それに伴い最も進化が期待できる業務のうちの1つがマネジメントだと思います。AIが進化することで、マネジメント業務はどう変わるのでしょうか。
LLMやそれを運用するツールの進化はどこまで追っても追いきれませんが、進化に左右されない(され辛い、ですかね)原則をここに記したいと思います。
2つのAI

マネジメントの観点でAIを捉えると、そこには2種類のAIがいると思います。
1つは相談役としてのAI、もう1つはメンバーとしてのAIです。
前者はChatGPTやGeminiなど多くの方が日々壁打ちで活用しているチャット型のAIです。後者は人の指示のもと業務を代行して行うAIエージェントを指します。最近だとclaude codeが話題ですが、これはコーディングエージェントとして有名なツールで、私はこれをベースに自分専用のエージェントを構築して愛用しています。
現代のマネージャーは、この2つのAIを駆使してマネジメントを成功させることが求められます。
相談役AIには観点を渡す
相談役のAIにマネジメントに関する相談をされている方は多いのではないでしょうか。しかし、何のインプットもなくただそのまま相談すると、以下のような回答が返ってきます。

これでも素晴らしい回答ではありますが、パターン、要因ともに抽象度が高くぼんやりとしていて、ゆえに対策も「次にこれをやろう」というアクションが見出しにくいです。

上記は「マネジメントの地図」と私が呼んでいるもので、マネジメント業務の全体像を示しています。この地図は、「観点」です。何かマネジメントで悩みがあった場合に、この地図を見ながらどのあたりに問題があるかあたりをつけ、要因の仮説をはっきりと言語化します。 この地図を観点に要因を言語化するシステムプロンプトを入れたGemに相談をしてみました。

そうすると、マネジメントに関するあらゆる問題の可能性を網羅的に検討した上で、具体的な要因の仮説を出してくれました。このレベルで提示されれば、自分の心当たりのある要因に出会えて、かつ要因に対す対策を講じやすいです。このように、相談役のAIには、観点を提示することが重要です。

観点を与えないと、問いに答えてくれているようで、偏りがある回答になっている可能性があります。パーソナライズされているなら余計に偏りが発生する可能性があります。
また、偏りなく網羅的に検討せよと言ったところで、やはり観点作りは今のところ人間が上だと思います。
観点の枠組み設計はAIも年々得意になっています。ただ、「マネジメントの地図」のように実務から体系化された観点は、現場経験がないと何が本質的かを選び取れない。その選球眼はまだ人間の強みだと感じています。

また、AIの回答を完全に理解するためには、AIとの共通言語があることはとても有効です。「その言葉が何を指しているのか」について、できる限り同じ定義を共有していれば、アドバイスの内容を理解し実行に活かしやすいです。
たとえば「戦略」という言葉を想像してみてください。人と人でも、人とAIでも、その間にある定義は全く異なるものであることは多いのではないでしょうか。
指示の基本型は人もAIも同じ

次はメンバーAIについてです。誰かに何か業務を行ってもらう場合、指示は最も基本的かつ重要なマネジメント業務になります。
指示は、「目的」「業務内容」「業務要件」「参考情報」の4段階で構成されています。これを指示の深度と呼んでいます。
人に指示をする時もAIに指示をする時も同じです。
AIに指示をする場合はプロンプトを作ることになりますが、プロンプトの書き方・テクニックを学ぶ前に、指示の原理原則を習得すべきです。どんなプロンプトでも、基本的には指示の原理原則の延長にあるはずです。
指示の本質が理解できているからこそ、良いプロンプトを自分で考えることができます。

指示通りに行かなければ、人の場合もAIの場合も、上記の1〜3に該当していないか確認してください。特に3つ目、「キャパシティがない」というのは、工数面・能力面の両方のキャパを指します。工数面についてはAIは心配することはないでしょうが、能力面でキャパオーバーになる可能性があります。

なんでAIなのにエージェント分けなきゃ行けないのか、1体が全部やってくれればそれでいいのにと思っていました。しかし実際は、1つのエージェントに複数の役割を持たせると、システムプロンプトが複雑化して各タスクへの集中度が下がり、品質が不安定になります。それが、エージェントを分ける理由です。
人間のマネジメントも同じですよね。経理業務と編集業務を両方1人にお願いしたらパニックになるのと同じだろうと思います。求める能力を分けてエージェントにお願いします。
エージェントは役割から

マネージャーはチームを作る時、何から考えるでしょうか?
ある営業チームに以下の3つの仕事が存在したとします。
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受注進捗管理
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申込書作成・回収
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商談日程調整
1つ1つの業務を点で見ていると、その1つ1つの業務は1人を採用するほどの業務量でもないので、誰を採用して良いのかわからないです。
しかし、「営業が営業に専念できるためのオペレーションを担うという役割」という用に、欲しい人の役割を先に決めれば、その役割に紐づいて業務を洗い出すことができるので、採用もできるし採用した後の指示もスムーズです。
つまり、チーム作りは1つ1つの業務を洗い出して・・ではなく、役割から設計します。そして、どんな人がいるべきなのか、役割から設計すれば、むしろ業務1つ1つはその担当者が自分で考えて自分で創出します。

最初claude codeに触れた時に、
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Hubspotから最新のヨミ情報を取得してNotionでレポート作成してslackのチャンネルに投稿する
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経営会議のアジェンダを役員各位に募って定めた基準により優先順位づけして私にアジェンダを提案する
など、いくつかやってほしいなと思う業務をやれるようにした後に、もうあんまりやってほしいこと思いつかないな、となってしまいました。たった数個の業務をやってもらうだけのものなのか・・と思った後に、ああと思ったのです。人のチームを作る時と同じですよね。
それから、役割を設計しました。
AI CEO Office
∟経営企画チーム:財務・KPIデータを把握した上で、現在及び未来の戦略設計を支援するという役割
∟コンテンツチーム:マネジメントの型を活かして、記事の企画〜執筆まで行うという役割
∟HRMチーム:評価データ・その他マネジメントデータを把握した上で、マネジメントを支援するという役割
∟秘書チーム:CEOが最大のパフォーマンスを発揮できるように支援するという役割
これを設計して、AI CEO OfficeのDirectorと各チームのリーダーの合計5体のエージェントと今は仕事しています。
役割を設計しているので、各役割において何をすべきかという業務そのものをエージェント各位に考えてもらっています。AIができることについて大して詳しくもない自分が1つ1つの業務なんて考えても思いつくことは限られるので、AIに考えてもらえれば良いのです。
人間がやるべきは「役割の設計」です。
さいごに
管理職であるかないかに関わらず、全てのビジネスパーソンがAIというパートナーを手にいれ、それを活用することを通じで自身の生産性を何倍にもできる時代に来ました。AIの活用はマネジメントそのものです。まさにビジネスパーソン総マネージャー時代の到来なのではないでしょうか。
マネジメントスキルを手に入れることは、自分の思考や想像を拡張し、自分のやりたいことを思い切りカタチにして表現できるということです。
マネジメントの力で、自分の余りあるエネルギーを解放してみてください。
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